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刊行物のご紹介

自然総研の刊行物をご紹介いたします。

『大阪・神戸 わがまち ゆかりの偉人

わがまち ゆかりの偉人

(株)自然総研 トイロ倶楽部 編著
自然総研 発行 2018年6月発行
価格:980円+税 単行本 146ページ

『河内・泉州歴史探訪 南大阪ふらり旅

南大阪ふらり旅

國眼隆一とTOYRO倶楽部 編著
自然総研 発行 2017年6月30日発行
価格:1,200円+税 単行本 191ページ

『北摂・大阪・神戸を巡る 摂津ふらり旅

摂津ふらり旅

國眼隆一とTOYRO倶楽部 編著
自然総研 発行 2010年5月発行
価格:1,200円+税 単行本 277ページ
【書評】街に注ぐ温かなまなざし

阪神間というと、神戸と大阪の「間」。ついつい東西軸で物事を考えてしまう。

尼崎市北部に暮らしていると、この軸では地域をつかめないと感じることがしばしばだ。大阪府の豊中や池田は車ですぐ。北に上がれば能勢、猪名川、宝塚、三田…。それぞれ府県や市の境界を越えた人々の往来がある。縦横無尽にいろいろな軸が交じり合う。

いまでこそ、兵庫と大阪に分かれているが、もともとは同じ「摂津の国」だったと思い至る。

その摂津を地盤とする池田銀行(現池田泉州銀行)のシンクタンク、自然総研(池田市)が定期発行する雑誌「トイロカルチャー」の名物連載をまとめたのがこの本。堅実な金融機関なのにトイロの名称は「十人十色」から取ったというからしゃれている。

よくある街歩きの紀行文とは深みが全然違う。目にした景色、出会った人々の言葉を手がかりに、書き手の國(こく)眼(がん)隆一さんが自然な雰囲気で歴史の旅へといざなってくれる。

兵庫と大阪の境にある妙見山。茶店でみそ田楽を食べて能勢探訪へ。「ここ能勢町は(中略)多田源氏の揺籃(ようらん)の地。にもかかわらず、平家の里としても知られています」。こんな語り口で、軽く時空を飛び越える。

尼崎の描写も阪急神戸線の3駅、園田、塚口、武庫之荘から始める。駅北側の風景が似通っているということで武庫之荘を歩く。駅舎正面から斜めに延びるメーン道路、水路にかかる小橋には「一の橋」「二の橋」などと番号がある。阪急電鉄の創始者小林一三が築いた郊外住宅地のたたずまいをさらりと説明する。

國眼さんは「大阪生まれの昭和ヒトケタ」。新聞記者を経て、社史やパンフレットなどを制作してきたライターだ。人や街に注ぐまなざしが温かい。過去を大切にしながら住み心地のよい地域をつくろうとする動きには素直にエールを送る。だから、ぱらりとめくって読むだけで明るい気分になる。2010/06/06 神戸新聞朝刊
評者=加藤正文・論説委員兼編集委員

大阪・神戸 伝統と革新の地場産業

大阪・神戸 伝統と革新の地場産業

(株)自然総研 産業調査グループ 編
自然総研 発行 2016年7月15日発行
価格:800円+税 単行本 141ページ
【書評】産地を訪ねて町工場に入る。

職人が懸命に作業に打ち込み、できあがった品物が所狭しと積んである。触ればまだ温かいモノを手に、熟練のオヤジさんが細部に込めたこだわりを話してくれる。

そんな匠(たくみ)たちの息遣いが本書のあちこちから感じられる。全編にあふれるのが、新鮮な驚きと職人たちへの敬意だ。

神戸の真珠業界。集散地として発展したのは、六甲山に反射した柔らかな光が選別に適していたからだといわれる。この道50年超の職人の瞬時の選別に触れ、「まさに神業。私達には同じ色に見えていた真珠も(中略)確かに違う色であることが分かります」。

大阪府八尾市の歯ブラシ工場。0・2ミリほどのナイロン毛の束が二つ折りにされ、猛スピードで柄に植え込まれる。そのラインに驚きつつ、多品種、高品質を支える工夫に感じ入る。「独特の形状で品質管理に厳しい日本市場には、中国も参入が難しいとのことで、輸入品は多くありません」。素直な目線が背後にあるので読後感がさわやかだ。

本書は、池田泉州ホールディングス(大阪市)のシンクタンク、自然総研(大阪府池田市)が定期発行する雑誌「トイロ・ビジネス」の連載をまとめた。トイロとは「十人十色」から取ったというからしゃれている。

薬、洋菓子、植木、靴、タオル、ネジなど30の産地が並ぶ。小旅行している気分で産地の雰囲気に浸るのが楽しい。工場、卸問屋、組合、内職、学校、検査機関…。あちこちで動く大小のプレーヤーが有機的につながり、町の個性を形作っていることに思い至る。

近年、小規模なパティスリーが増えてきた神戸の洋菓子業界。「師匠と同じ商品はつくらない」「修業した店の近くで開業しない」。そんな不文律によって「過当競争に陥ることなく、層の厚い地場産業として成立しているのです」。確かな分析に納得する。

個性的な産地がモザイク状にそろう関西。画一ではなく、多様性こそが強みであることを感じさせてくれる。2016/09/18 神戸新聞朝刊
評者=加藤正文・東京支社

『大人の散歩 大阪・神戸の近代化遺産を訪ねて
ちょっと京都・奈良

大阪・神戸の近代化遺産を訪ねて

國眼隆一とトイロビジネス 編著
自然総研 発行 2014年3月発行
価格:1,600円+税 単行本 225ページ
【書評】先人の情熱刻む建物たち

建物には声なき声がある。「近代化」という都市の青春時代に生まれた建物たちには、先人たちの情熱が刻まれている。著者の國眼隆一さんは、その声に耳を傾け、親しげに会話を交わす。

大阪・北浜にたたずむ「北浜レトロビルヂング」。世紀末の欧州で流行した建築手法に触れ、「ほんのり、ゆったり、暖かく、小声で語りかけてくるような雰囲気がたまらない」。近くには「大林組旧本店ビル」。玄関の上に三つのアーチと、バルコニーを配したすっきりしたデザイン。「歴史を経てきたものだけが発散できる深い魅力」「若々しい息吹」を感じ取る。

本書は、池田泉州銀行(大阪市)のシンクタンク、自然総研(大阪府池田市)が定期発行する雑誌「トイロ・ビジネス」の連載をまとめた。トイロとは「十人十色」から取ったネーミングだ。

日本銀行大阪支店、神戸旧居留地、兵庫県公館など有名どころもあれば、尼崎運河、泉州綿花企業建築群など通が好みそうなスポットもある。國眼さんは「大阪生まれの昭和ヒトケタ」。新聞記者を経て社史やPR誌などを制作してきたベテランライターだ。資料と街歩きを基に時代の空気をよみがえらせる。

大阪・中之島の府立中之島図書館では、正面に刻まれた「大阪図書館」の文字に目を向ける。府立の略称ではなく「あくまでも大阪の図書館」なのだそうだ。「図書館らしい図書館が皆無であった大阪に、初めて誕生した図書館。そんな大きな出来事に感動し、歓喜している人たちの思いを表現した」。時空を軽く飛び越え、当時の人々と一緒に本を借りているかのようだ。

その街で住まい、交流する人々の記憶を伝える近代化遺産。保存・再生しながら活用している街には独自の奥行きがある。人口や経済規模では測れない「都市格」がそこにある。2014/04/13 神戸新聞朝刊
評者=加藤正文・経済部

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